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深刻な失業問題が発生
マルクスは不磨の大典
最近、中国共産党の動きが異常である。あらゆる面で国民を監視する体制が強化されているからだ。10月の19回党大会開催を控えて、もめ事を事前に防ぐという意味を超えている。統制強化の裏には、中国経済の骨格にヒビが入ってきた。それは、修復不可能な状態になりつつあるのかも知れない。統制強化は経済危機の証明であろう。
その端的な例は、失業問題である。中国では、正しい失業率の公表はタブーになっている。毎月、失業率調査は行なわれているが、実数は公表されず闇のなかである。「国家機密」とかで公表されないのだ。当局は、共産主義社会では失業者は存在しない。こう公言している手前、大量の失業者の存在を発表は憚れる。嘘の上塗りである。
中国政府は、失業問題で発言することもタブーのようである。ニュースとして流れないからだ。その中で、5ヶ月前に次のような中国政府の「談話」が報じられただけである。
深刻な失業問題が発生
『ロイター』(4月20日付)は、「中国で大量失業のリスク高まる、政策対応必要ー国務院」を伝えた。
(1)「中国国務院(注:中国政府)は、一部地域や産業セクターでの大量失業のリスクが高まったとし、失業率上昇の可能性に対する財政・金融政策面での支援の必要性を訴えた。ウエブサイトに掲載した指針で、現在の労働市場には大きな構造的問題が存在するものの、雇用を最優先の政策課題とすべきと指摘。鉄鋼、石炭、石炭発電など稼働能力削減の影響を受けたセクターから労働者を適切に再配置するとした」
中国の過剰債務は、過剰設備の問題でもある。IMF(国際通貨基金)によると、中国の非金融部門債務が過去5年間で倍となった。また、非金融部門債務の対GDP比率は16年末の235%が、22年になると約300%に達すると予測している。これだけの債務を抱える企業部門がデレバレッジ(債務削減)を行なえば、失業者の出るのは当然である。政府の命令によって、過剰雇用を抱え込まされているのだ。
政府が、企業に過剰雇用を抱えさせている理由は、失業者が街に溢れたならば、政府の責任となるからだ。それ故無理矢理、失業者を増やさないように糊塗しているが、鉄鋼などは、米国から過剰設備の廃棄を厳しく要求されている。このように、国際問題になっている以上、設備廃棄は不可避である。ここに、大量の失業者が出てくる背景がある。
(2)「『都市部で新規雇用が縮小したり失業率が急上昇するようであれば、国として財政・金融政策による下支えを強化すべき』とし、政府として起業の推進や中小企業支援を継続する方針を示した。具体的には、新規事業向け工業団地や起業拠点の建設加速、新興企業を対象とした税制優遇措置などを挙げた」
中国政府の失業対策は都市部だけである。農村部は対象外だ。狭い農地でも与えてあるから、それを耕作して「食いつなげ」という姿勢である。都市部の失業者対策として、飽くなきインフラ投資を継続している。非効率とかむだな投資とか、散々な評価を受けているが、これ以外に短期的に行える「失業者対策」は存在しない。痛し痒しであろう。
以上のように、中国政府は失業対策に言及しているが、末端では「ドロドロ」した状態に追い込まれている。
『大紀元』(8月30日付)は、「ねずみ講が横行、就職難の若者がターゲット」と題する記事が掲載された。
この記事を読むと、大学生の就職難が深刻であることが分かる。これまで、「保八」とか「保七」と言われたのは、8%とか7%の経済成長率を達成しないと失業問題が起こるという意味であった。現状は、「新常態」と称して中成長が常識と吹き込まれている。この裏には、大量の失業者が発生していることが暗黙の前提であろう。中国政府は、この大量失業がもたらす「国家転覆」の危機を察知して、強烈な弾圧を加えているに違いない。中国の抱える本質的な矛盾は、この大量失業問題に行き着くはずだ。
(3)「中国国内では現在、『傳銷』(無限連鎖講、ねずみ講)犯罪が蔓延している。ターゲットにされているのは、若者たちだ。この犯罪一つで、大学生の就職難、地方政府とねずみ講の癒着、騙すことに悪びれなくなるといった犯罪性を呼ぶ拝金主義など、さまざまな今の中国の社会問題が露呈する。大学生などの若者がターゲットに狙われている。国内メディアによると、7月~8月で4人の大学生がねずみ講犯罪関連で死亡。当局は、4人の大学生の死因について『溺死』『熱中症』などと、不適当な理由で事件を終わらせようとしている。親族らは警察らに対して、ねずみ講組織の関与を捜査するよう求めている」
中国で、「ネズミ講」が流行っている。被害者は就職難の大学卒業生が、甘い言葉に騙されて事故が多発しているもの。この背景には、地方政府とねずみ講が癒着しており、被害者の救済を怠っているという信じがたい現実が横たわっている。拝金主義がはびこっている結果とされるが、そのような生温い言葉で済ます訳には行くまい。中国社会が抱える本質的な問題=無信仰のもたらす問題と見るほかない。
パール・バック女史の長編小説『大地』(1938年ノーベル文学賞)では、清末時代の中国が抱える病理が鋭く描かれている。現在の中国と大差ないのだ。この国は、一貫して倫理とは無縁の社会であることが分かる。特に、経済成長率が低下して失業問題が深刻化する局面では、『大地』に描かれた社会混乱が容易に再現される宿命を抱えている。中国4000年の歴史は、拝金主義と隣り合わせと見るべきだ。
(4)「時事評論員の顔丹氏は、現在、中国の大学生は就職難で、親に『コネ』がなければ職を見つけられないと指摘する。『政府機関や国有企業などで働けるのは、官二代と呼ばれる高官子弟。それ以外の学生は、“大学卒業イコール失業”の現実に直面する。よりよい給料や条件を求める若者たちは、詐欺グループに騙されやすい』。また、時事
評論員の唐靖遠氏は、ねずみ講犯罪組織は各レベルの地方政府と癒着していると批判した。『ねずみ講組織の多くは設立当初から、地方政府または政府系メディアに支持されていた。そのため、当局は取り締まりに消極的だ』。唐氏によると、死亡した男子学生の親族は、息子が犯罪グループに監禁されていると疑い、警察に助けを求めたが、捜査を拒否されたという」
社会の「木鐸」(ぼくたく)たるべき政府系メディアが、この「ネズミ講」を支持するような報道をしたという。この裏には、地方政府も絡んでいる。彼らは、ネズミ講からの利益にあずかっていたはずである。このような腐敗した社会が、中国の偽らざる姿と言うべきなのだ。ネズミ講の被害者が、生命を落としても警察は真面目に捜査をしようともしない。これぞまさに、「世も末」である。『大地』の世界が、今も続いている証拠だ。
(5)「唐氏は、中国当局が、いわゆる改革開放後、高い経済成長率を追求してきた結果、拝金主義が一気に広がったことも一つの要因とみている。『一部の人が金儲けのために手段を選ばない。しかも、多くの人が一獲千金を狙っている』。さらに唐氏は、中国共産党による欺瞞と不正が横行する今日の中国社会で、詐欺グループや被害者も含めた国民は『騙し合い』に慣れて、ウソを悪びれることなく、感覚がマヒしている、と道徳に基づいた判断力の低下を危惧した」
世界の「偽物づくり」の86%は中国製である。この国民は、最初からモラルとは無関係な生き方をしてきた。南シナ海は、中国固有の領海という嘘の主張を堂々とする国家である。常設仲裁裁判所は、中国の主張を100%否定しても、怯むことなく虚言を弄している。この姿を見れば、国家も国民も一緒になって「詐欺」を働いていることに気づくべきだろう。この中国が、正常な発展過程にあるはずがない。
前記のような事実は、中国共産党自身がすでに深く認識しているであろう。国家統治の危機感を強めていると見るべきだ。普通の感覚であれば、問題点を改善・改革するはずだが、儒教文化にはそうした「イノベーション能力」は存在しない。過去回帰型文化ゆえに、弾圧という方法でしか乗り切る方法を知らないのだ。
マルクスは不磨の大典
『大紀元』(8月30日付)は、「中国共産党、大学や外資企業で党組織の設置を強化」と題して、つぎのように報じた。
中国共産党は、大学や外資企業にまで「党組織」をつくらせているという。自らの統治能力に危機感を持ち始めているのだ。中国では、「学問の自由」などあるはずもなく、かび臭くなったマルクス・レーニン主義と毛沢東思想でがんじがらめにしたい「焦り」であろう。習近平氏は、「グローバリズム」を声高に言い募るが、本人の思想は「ローカリズム」である。なんとも矛盾した言動だ。ご本人は、その矛盾に気づかないのだろう。
(6)「中国共産党は最近、国内の大学や民間企業での党支部(党の末端組織)の設立を強化している。外資系企業にも、党組織による企業統治への介入を強めている。専門家は、共産党が体制崩壊を免れるために、党による完全支配を維持する目的があるとみている。中国共産党中央紀律検査委員会監察部は8月25~27日同公式サイトで、清華大学、山東大学、北京師範大学などの大学で、『党委員会教師工作部』の設立を発表した。外国籍の講師を含む教授や講師へ、思想教育を強化するためだという」
国内企業だけでなく、外資系企業にまで党組織を拡張させる狙いは、「反革命」が起こることを警戒しているに違いない。よほど、国内統治に自信を失ってきたのだ。頼りにしてきた経済成長率が、急速鈍化の兆候を見せている以上、いつ不満の火が燃えさかって「共産党反対」に立ち上がるかも知れない。危機感は、ここまで迫っているのだろう。習氏は、枕を高くして寝られない状況に追い込まれているに違いない。
外国籍の講師を含む教授や講師へ、思想教育を強化するという。自由な政治制度の下で生まれ育った人間にとって、思想教育とは恐怖以外の何ものでもあるまい。余談だが、日本共産党員には、耐えられるだろうか。日共党員も思想統制は厳しいと聞くが、彼らの感想を聞きたいと思う。外資系企業にも党組織がつくられる事態が、対中直接投資にマイナスの影響を与えるだろう。中国で、いくらビジネスチャンスがあろうとも、社内に「党組織」のできることに違和感があるはずだ。中国政府は、自己防衛のガードを固めるあまり、真のグローバリズムを見誤っている。
(7)「『中国日報』7月の報道によると、国内の民間企業約186万社のうち、およそ7割に党組織が置かれている。国営『河北人民広播電台』(ラジオ放送局)元編集者の朱欣欣氏は、相次ぐ党支部の設置について、『崩壊を恐れる中国共産党の無意味な抵抗かもしれない』『人々の思想を完全に統制し党の存続を図ろうとしている。しかし、共産党の本質を知る国民が多い今、逆に反発を招くだろう』と大紀元の取材に答えた。また、朱氏はIT企業で党組織の設置強化は『インターネット上の言論統制と検閲のため』と指摘した」
中国では、すでに国内の民間企業約186万社のうち、約7割に党組織が置かれているという。一種の「社内スパイ」だ。ここまで徹底的に守りの姿勢を固めているのは、繰り返して言えば、共産党の存在が揺らいでいる証拠だ。世にもまれな中国共産党「鉄の規律」は、強さの証明でなく、弱さの証明と言うべきだろう。
中国共産党崩壊を防ぐのは、前記の「鉄の規律」にあるわけでない。今後の経済成長率がどこまで急減速するか。それが、崩壊のカギを握っている。IMFは、現在のノーマルな経済成長率を5.5%と見ている。今後の、生産年齢人口比率の低下に加え、労働力の「低学歴」によって、成長率はさらに一段と減速する。習氏が持ちこたえられる時間はそれほどあるわけでない。となると、中国にとって最善策は共産党の繁栄でなく、国民の発展策が奈辺にあるかを国民自身にゆだねることだ。中国共産党が、世界屈指の賢明で哲学的な政党でなく、ただの物欲追及集団であることを悟るべきである。
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(2017年9月11日)
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